Q&A

もっと楽しく素敵に装うために、現代に合ったしきたりや知っておくと便利なことをまとめました。お手入れに関することなど、ここにないことでもお知りになりたいことがございましたら、ぜひ私どもにお電話(0120-987-147)かメールフォームでお問合せ下さい。

  1. “クリーニング(丸洗い)”と“洗い張り”の違いは?
  2. “汗のしみ”はクリーニング(丸洗い)で取れるのでしょうか?
  3. “擦れ(スレ)”って何?
  4. “袷”のきもので表地や裏地が袋状になるのは何故?
  5. 胴裏についた斑点状の黄色い染みは一体なに?
  6. “湯のし”と“湯通し”はどう違うの?
  7. 和服の寸法に使う単位っていったいどんなもの?
  8. きものをTPOによって分けて着たいのですがどれを着ればいいの?
  9. 草履を履くときに足が痛くならない方法は?
  10. 家紋について教えて下さい。
  11. 代表的な紬のきものを教えて下さい。

“クリーニング(丸洗い)”と“洗い張り”の違いは?

クリーニング(丸洗い)はきものを解かずに石油系の溶剤を使用して洗う方法(一般的にはドライクリーニングと呼ばれています)で、全体的に黒ずんだうす汚れや油染み(ファンデーション他)など油性の汚れは落とせますが、油と仲が悪い水による水性の汚れは落とすことができません。

それに対して洗い張りはきものを解いて反物の状態に端縫いしてから水洗いをします。その為、油性の汚れは残ってしまいます。

したがって、汚れやしみの状態によって洗う方法を選択し、それぞれ洗った後に残ってしまった汚れやしみは別途しみ抜きを掛けて取り除く方法が望ましいです。

“汗のしみ”はクリーニング(丸洗い)で取れるのでしょうか?

汗は体内の水分が体外に排泄されたものです。つまり汗は水性の汚れですので、油性の汚れを落とすクリーニング(丸洗い)では落とすことが出来ません。汗を落とすには水を使ってしみ抜きをする必要があります。

汗はそのままにしておくと、汗に含まれた不純物が原因となって黄色く変色してしまいますので、汗をかいた後は必ずきものや襦袢をお手入れしましょう。

“擦れ(スレ)”って何?

擦れとは、生地に織り込まれた細かい絹の糸が摩擦によって傷つき、光の乱反射によって傷ついた部分が白っぽく見えるものです。

擦れは水分を含んでしまった部分をタオルなどで擦ってしまった場合に出来るのが殆どで、完全に修復することが出来ませんので、もし水性の汚れが付いてしまってもきものを擦ったりしないよう注意しましょう。

“袷”のきもので表地や裏地が袋状になるのは何故?

保管中の湿気などが原因で生地に縮みが発生したためです。

特にちりめんなどの素材が非常に縮みやすい為、少なくても年に2回程度はたんすから出して陰干し(虫干し)して湿気を取り除くようにしましょう。

また、簡単に湿気を取り除くためには乾燥剤や防湿シートの使用も効果的です。

胴裏についた斑点状の黄色い染みは一体なに?

これはカビによる変色です。

カビは「水分」「養分」「酸素」「湿度」などが要因ですが、特に水分(湿気)による影響が大きく、陰干し(虫干し)や防湿シートなどである程度防ぐことが出来ます。湿気を防ぐには、着物をたんすから出して頻繁に着てあげるのも効果があります。

“湯のし”と“湯通し”はどう違うの?

湯のしは生地に蒸気を当て、しわや凸凹を伸ばして繊維を均等に揃えていく作業で、反物の巾をそろえる作業も同時に行います。

湯通しは主に紬の反物を薬品のお湯につけることで織り込まれた絹糸に含まれた不要な糊の成分を取り除く作業です。

和服の寸法に使う単位っていったいどんなもの?

主に“鯨尺”を使用します。

例えば、一尺=37.88cm、一寸=3.79cm、1cm=2分6厘9毛、となります。

きものをTPOによって分けて着たいのですがどれを着ればいいの?

「礼装」…婚礼の際に着ます。独身者は振袖、既婚者は黒留袖(五ツ紋)や色留袖(三ツ紋)を着用、仲人や母親、近親者も黒留袖(五ツ紋)を着用します。帯は袋帯を使いましょう。

「正装」…成人式では振袖に袋帯、入学式や卒業式では色無地か付下げを着用、帯は袋帯でも名古屋帯でもかまいません。

「喪服」…近親者の場合は黒無地(五ツ紋)に黒地の袋帯または名古屋帯、知人・友人の場合は同じ黒無地ですが、一ツ紋でもかまいません。帯はグレー地の袋帯、または名古屋帯を使用します。

草履を履くときに足が痛くならない方法は?

「痛くならない草履」を選ぶのが良いでしょう。

選び方としては、鼻緒の裏側(足に当たる部分)がふわっとして柔らかいもの、前緒がきつめのもの(指が程よく固定されます)を探しましょう。前緒はきついと履きづらい印象を受けますが、実際にはゆるい方が、足が痛くなりやすいのです。

家紋について教えて下さい。

家紋は平安時代の貴族が家柄を誇示するために用いたのが始まりといわれています。

現在でも豊臣の五三の桐、徳川の葵、明智の桔梗など有名な家紋がいくつもあります。家紋は、代々、姓とともに受け継がれるものですが、地方によっては、少々習慣が異なるようで、関西では、実家の母方の紋を嫁ぐ先でもつける女紋の習慣が残っています。

紋の大きさ
    男紋は、直径3.5cm(9分)〜3.8cm(1寸)
    女紋は、直径2.2cm(5.5分)〜2.4cm(6分)

代表的な紬のきものを教えて下さい。

紬は全国に多くの種類があるので全部を紹介することはできませんが、鹿児島の大島紬と茨城の結城紬は「紬の双璧」とも言われ紬の代表的な存在です。

その他にも東京の黄八丈、山方の紅花紬、石川の牛首紬、長野の飯田紬、岐阜の郡上紬、新潟の塩沢紬、沖縄の久米島紬などなど、他にも有名な紬がたくさんあります。素材も絹だけではなく、麻や綿などにも、越後上布や久留米絣など有名なものが数多くあります。

〔豆知識〕
大島紬のランクを表現する単位に使われるのが「マルキ」という言葉です。これは経絣(タテガスリ)糸の本数を表していて、経絣糸80本で1マルキとなっています。9マルキの反物だとなんと720本もの経絣糸が使われています。結城紬は亀甲絣の数で表現しています。